院長のつぶやき
犬や猫の歯は、すぐに汚れて口臭が出て、きれいにしてもそれを保つのはとても難しいですよね。
人間のように細かくお手入れはできませんし、歯石を取るだけでも麻酔が必要だし、歯石取りをして一時的にきれいになっても、きれいに保つことなんて至難の業! ずっときれいな口を保つことができればいいのに…
私(院長)も同じように感じており、日々この難問に向き合って格闘している毎日です。
犬猫の歯科治療の目標は何でしょうか。当院では、それは年齢や持病などによって異なると考えています。
若齢期、中年齢では、質の高いケアで歯を守っていくことが重要です。
この時期のケアの質で、その後の歯の状態が決定されるといっても過言ではありません。
高齢期に近づいてくると、優先すべきは一本一本の歯よりも、持病の管理や全身状態、QOL(生活の質)が重要になってきます。
高齢期になって、たくさん歯が残っているからと言って、歯ブラシできない、口が痛い、いつも頬が腫れている、歯石取りの麻酔で持病が悪化してしまった、では治療は失敗です。残っている本数の問題ではありません。
無理して、大きなストレスの中で歯を残しても、それは犬や猫のためではないと考えています。
目標達成への道は、下記三項目によって変わります。
- 年齢と持病
- 歯周炎になりやすい子か
- 質の高い歯ブラシ習得をどこまで頑張れるか
(院長もあきらめずに一緒に頑張ります!)
歯科治療の目標がしっかりと獣医師と家族で共有できると、ひとつひとつの治療に迷うことはなくなります。そして、この目標を達成するために重要なのが、若いころからの正しいケアの知識(歯科セミナー)と、10歳の時に行う歯科処置です。10歳以降は麻酔のリスクが上がり、できる処置が限られてくるため、その後を見据えた処置が必要になります。この歯科治療の質によって、高齢期の口の健康の質が決まると考えています。
長寿化する犬や猫のために、将来を見据えた質の高いケアと適切な歯科処置で備えていきましょう。