口の健康を保つ
病院は病気を治すところですが、やっぱり病気にならないことが一番なのです。3歳以上の犬の80%、猫の70%が何らかの歯周病を持ち、それにより加齢とともに多くの犬・猫が歯を失ってしまうことがわかっています。 “歯周炎の怖さ” について理解すると、歯周炎はそもそも病気になってから治療するのではなく、正しい理解のもとで、若くて健康な時から歯ブラシの習慣を定着させることが、最も基本的かつ効果的であることがわかります(詳しくは犬猫の歯科講座の「歯周病が持つ4つの怖さ」をご覧ください。)。
このような観点から、当院では、ディスカッション形式の歯科セミナーをこれまで30回以上開催し、200名以上の飼い主に対して、ペットの口のトラブルや歯ブラシの悩みに直接向き合ってきました。一見面倒に見えるこの姿勢をおろそかにした歯石取りと抜歯などの治療中心の歯科治療は、真にペットの歯の健康を考えた手法とは言えないと考えています。
当院は、ご家族の努力を良い結果に導くことができない大きな責任は、獣医師にあると考え、適切なケアについて、その子の性格や家庭事情を考慮しながら、ご家族と一緒に考えていきます。口の健康を保つカギは、飼い主様が歯周炎について理解し( 詳しくは犬猫の歯科講座を参照 )、その上で日々のケアをしていくことだと考えています。ご家族が積極的に治療や予防に参加し、自宅での質の高いケアを目指す気持ちがあって初めて健康な口を維持することが可能になります。
まずは、獣医師自身(院長)が手本となって実際に自分のペットの歯の健康を保ち、日々のケアをする飼い主様の苦労がわからなければ指導する資格がないと考えます。
院長による歯ブラシ動画
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従来と当院の口腔ケアプログラムの違い
~6か月
従来の口腔ケアプログラム
- 動物看護士によるはみがき指導
当院の口腔ケアプログラム
- 歯科の専門知識を持つ獣医師による指導(歯科セミナー)
6か月~5歳
従来の口腔ケアプログラム
- 定期的な歯石取りなど画一的なプログラム
当院の口腔ケアプログラム
- 従来からの手法に加え、個々の口の状態に応じたプログラムの提案
5~10歳
従来の口腔ケアプログラム
- 定期的な麻酔下での歯石取り
- 状態の悪い歯の抜歯
当院の口腔ケアプログラム
- 個々の口腔内の状態により適宜麻酔下での歯石取り
- バランスを考えた効果的な抜歯
- 質の高いホームケアができるまで繰り返しの指導
- 年齢や持病を考慮した口腔ケアの対策
老齢期
従来の口腔ケアプログラム
- ホームケアをしたくても嫌がる
- 持病による麻酔リスクのため、あらゆる歯科治療の断念、放置
当院の口腔ケアプログラム
- ホームケアと麻酔下(鎮静程度)歯石除去の継続
- 歯科診察も継続
まとめ
従来の口腔ケアプログラム
- 結局は治療中心
- その場しのぎの処置の繰り返し
- 様々な獣医師や看護師・飼い主様が関わって、それぞれベストを尽くしている(と思っている)が、ケアできないなど問題が起きた時に原因を検証できず、結局は歯ブラシできない飼い主様だけの責任になってしまう。
当院の口腔ケアプログラム
- 治療後のホームケアの質を重視
- 歯科セミナーで情報提供
- 院長『頑張っても歯ブラシできなかったら、私のせいです!』
- 同じ獣医師が一貫して治療とケアの指導を行うので、責任が明確。実際にケアをする人の立場になって治療できる。ケアが不得手な子には、代替案を提案。
- 将来起こりうる問題を予想し、それを予防するための個別プログラムを提供