拡大鏡とマイクロスコープについて
3倍拡大鏡
5.5倍拡大鏡
8倍拡大鏡
マイクロスコープ
当院では、すべての歯科処置、歯石取りに、拡大鏡(3倍、5.5倍、8倍)、マイクロスコープなどの拡大視野装置を使用しています。動物の歯科治療は麻酔が必要であり、誤診や治療のやり直しができないと考えなければなりません(再度麻酔が必要になる)。一度の治療で最高の結果を残すために当院ではなくてはならない装置です。
肉眼、拡大鏡、マイクロスコープの見え方の違い
肉眼
感覚と勘による作業。
3倍(拡大鏡)
正確な感覚で行う作業。
5.5倍(拡大鏡)
正確な感覚で行う作業。
20倍(マイクロスコープ)
確実に目で見て行う作業。
ご覧のように、マイクロスコープでは細部まで鮮明に見ることができます。しかし、大きく重い機械なので焦点などの設定に時間がかかったり、可動域が狭いなど欠点も多いため、当院では主に拡大鏡を使用し、要所でマイクロスコープを使用します。拡大鏡は、マイクロスコープよりも倍率が落ちますが、頭に装着する軽い器具ですので、頭を動かすことでどの場所でもすぐに拡大し、正面・側面と視野を変えることで立体的に確認できます。
マイクロスコープが特定の場所の集中的な治療に使うのに対し、拡大鏡は歯肉の溝の下などの細かな部位を口腔内全域にわたって手軽に拡大でき、予防や検査の面まで応用が利くため、愛用しています。
マイクロスコープの使用例
最も治療がシンプルな、単純歯冠破折の治療例を参考に、肉眼で見えないものが、拡大装置でどれだけ見えるかを紹介します。もし、拡大装置を使わなかったら早期に接着がとれてしまうであろうケースです。
矢印の歯が折れている。
まず歯石を完全に除去して、接着前の処理を行います。
※タップすると拡大します。
肉眼(肉眼で歯石除去後の歯面)
一見、きれいになっているように見える(肉眼での処置であればここから接着工程に進む)。
3.0倍拡大
少し歯石が残っているのが見える。
5.5倍拡大
歯石が明らかに残っている。
マイクロスコープ (×16倍)
いたる場所に歯石が残っている。肉眼に頼ることがどれだけ頼りないかがわかる。
マイクロスコープ下で歯石除去後
マイクロスコープで接着治療後
拡大鏡とマイクロスコープの利点・欠点
拡大鏡
利点
- 頭を動かすことでどの場所でもすぐ拡大できる
- コンパクトで邪魔にならない
- 対象物を複数の視野で観察でき、立体視しやすい
- 口腔内のどの場所でもすぐに視野を合わせられる
欠点
- 拡大倍率が小さい
- 拡大倍率が上がると視野がやや不安定になる
院長コメント
- マイクロスコープが特定の場所の集中的な治療に使うのに対し、拡大鏡は歯肉の溝の下などの細かな部位を口腔内全域にわたって手軽に拡大できるため、予防や検査の面まで応用範囲が広い。
- 当院ではすべての歯科処置に使用。
- しっかり使い慣れるまで、経験が必要。
マイクロスコープ
利点
- 最大倍率が大きい。(最大20倍程度)
- 視野が安定する
欠点
- 機械の可動域が小さく、直視できる範囲が狭い
- 複数の視点が必要な立体視が苦手
- 設置や焦点を合わせるのに時間がかかる
- 治療部位が変わるたびに本体を細かく動かさなければならない
院長コメント
- 拡大率が高いということ以外、デメリットが意外に多い。
- デメリットがあっても根管治療のような複雑な形態をしている場所の集中的な治療に有用。
- 煩雑で麻酔時間もかかるため、特別な処置の時だけ使用する。