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電気化学療法をはじめました

近年、悪性腫瘍の治療に対し、“電気化学療法”という治療法が大きな注目を集めています。

その治療を行うための機器を導入しました(フランス製)

先日、第2回の電気化学療法研究会が開催され、様々な知見を得てきました。

電気化学療法が大きな力を発揮できる腫瘍は、例えば以下のようなものです。

犬では、
扁平上皮癌
肥満細胞腫
軟部組織腫瘍
悪性黒色腫(メラノーマ)
髄外性形質細胞腫
棘細胞性エナメル上皮腫など
猫では、
扁平上皮癌
肥満細胞腫

顔面や口の中、目の周り、肛門周囲、鼻鏡、四肢など、解剖学的な要因で拡大切除をすると機能欠損が起きてしまうような場所の腫瘍、高齢で大きな手術が難しい場合などに特に大きな力を発揮します。

例えば、このような腫瘍に対する治療を考えてみます。この腫瘍の病理診断は扁平上皮癌という局所浸潤性の強い悪性腫瘍でした。根治的に治療するにはどうすればいいでしょうか。不十分な切除では腫瘍細胞を取り残してすぐに再発してしまいますし、かといって拡大切除をするには断脚は避けられない場所です。

このようなときに、放射線治療のように局所病変をしっかり制御してくれる大きな可能性を秘めた治療法が電気化学療法です。

主な作用機序は、高電圧によって腫瘍細胞の細胞膜に電気穿孔が発生し、抗がん剤の細胞膜透過性が著しく亢進して抗がん剤の効果が飛躍的に高まるというものです。

特にその傾向が強いブレオマイシンという薬は、電気穿孔させることで細胞内の薬物濃度が100~5000倍に上昇します。

その実力を示すデータがこちらです。

  • 犬の口腔内扁平上皮癌: 奏効率が90.9% (Simcic P, Vet Comp Oncology, 2020)
  • 5センチ未満の犬のメラノーマ: 奏効率が100% (Moretti G, Front Vet Sci, 2022)
  • 猫の皮膚扁平上皮癌: 奏効率が80~100% 

治療直後に皮膚や粘膜の潰瘍や疼痛が一時的に出ますが、2-3週後には落ち着いてきます。

放射線治療が費用や地理的な要因で難しいときにも威力を発揮できます。

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