院長ブログ(歯科)
ある18才の猫の歯科治療

ある18才 猫の 口の中の写真です。
この子はステージ3の慢性腎臓病と貧血(PCV 17%)が持病の子です。
ずっと口を気にする仕草をしており、それなりの口臭もあります。
この子の治療はどのようにすればよいでしょうか。
歯科治療をするときにそれなりの出血を伴うため、さらに貧血を進めてしまう歯科治療は今の状態ですることはできません。
そして貧血の原因は、慢性腎臓病と歯周炎による慢性炎症です。
貧血は治療できるでしょうか?
慢性腎臓病の貧血はネコ用の合成エリスロポエチン製剤の「エポベット」での治療ができますが、歯周炎による慢性炎症は歯科治療です。
つまり、この子の歯科治療をするには輸血が必要な可能性が高いということです。
さまざまなことをすべてこなせば処置ができるかもしれませんが、その治療に伴うコストやリスクを考えて、口の治療に二の足を踏んでしまう方も多いと思います。
人の歯科治療は何歳になってもできますが、動物の場合は全身麻酔が必要になるので治療する時期や年齢をよく考えなければなりません。症状がなくても、数年前に先を見越した治療をしていればもしかしたら防げた可能性もあるのです。長寿化するペットの歯科治療はタイミングと治療の内容をよく考えなければなりません。