院長ブログ(歯科)
シニアと歯科
13歳 の小型犬です。 「口が痛くてご飯が食べれない」という主訴で来られました。
重度の歯周病に加えて、貧血(PCV 30%)、慢性腎臓病 (BUN 66.2, Cre 2.69)、タンパク尿(UPC 0.75)などの慢性疾患があり、歯科治療も麻酔のリスクが高く、かといって歯科治療をしないで持病を管理するのも難しい状態でした。

ステージ2の後半でタンパク尿がある例では平均的な余命は3か月から長くても8カ月程度であるのが一般的です。
通常、このような大きな持病がある子では歯科治療は避けるのが一般的ですが、この子は口の痛みがあまりにも強かったため、十分な悩まれた上で麻酔下での歯科処置をする決断をされました。
その子が先日、お口の定期検診に来られました。(処置後1年)表情も良く、元気な様子で、当時と比べて20%体重が増えていました。
その時のお口の様子と腎臓の状態です。
慢性腎臓病は、BUN 71.6 Cre 2.77 UPC<0.2 でした。
一般的に尿蛋白(UPC)は全身の炎症反応によって悪化することが多く、それが慢性腎臓病の進行にも影響があることが分かっています。
この子は、歯科治療によって尿蛋白も改善し、口の快適になり、歯科処置が成功した事例です。
ただ、高齢で処置をしたこの中には治療後に弱ってしまったり、腎臓病が悪化してしまう例も中にはいます。そのようなことを防ぐため、シニア期になる前に(持病の出る前に)口腔内を安定化させるようなしっかりとした処置をすべきだったかもしれません。
1年後のお口の様子です。(もう数年早く処置できれば少しは歯を残すことができたかもしれません。)
